海外リスク要因、ゆっくりと浮上 中国に続いて米国でも不安ムード

概況


昨年秋以来落ち着きを見せていた海外のリスク要因がゆっくりと浮上し始めている。3極(ユーロ圏、米国、中国)のうち中国は、中国国務院の不動産市場引き締め策強化への思惑が続いている。さらに米国にも不透明感が広がってきた。海外マーケットが揺らぐと外国為替市場では円安に歯止めがかかる可能性があり、当面要注意だ。

FOMC(米連邦公開市場委員会)議事録(1月29・30日分)が日本時間21日午前4時に公表され、「何人かのメンバーは景気の見通し次第で量的緩和の変更を主張」の一方、「ほかの何人かのメンバーは雇用の顕著な改善まで資産購入の継続を主張」が盛り込まれ、同日のニューヨーク市場では、前者の文言に反応してドル高が進んだが、ドル円の場合、当初は94円を回復、一時94円3銭近辺を付けたが、米株の急落や、ユーロドルなどのドルストレートや、ユーロ円などのクロス円の下落の影響で93円50銭近辺まで押され、議事録発表前に戻した。東京市場は下げが拡大した。

ドル高になる要因はさまざまだが、米金利高はストレートに結びつきやすい。20日のニューヨーク市場も議事録によって米国の量的緩和政策の早期終了や縮小の観測が連想させ、金融引き締めに転じるわけではないが、債券安や株安、外国為替市場での対ドルでの欧州通貨や資源国通貨の下落を誘った。こうした不安ムードは当面尾を引く可能性が強いとみられる。

もっとも、米国の量的緩和政策の早期終了や縮小の観測は、別に目新しいことではない。昨年12月開催のFOMCでも既に出されていた議論。最近のFRB(米連邦準備制度理事会)当局者が同種の発言を行っている。今回のFOMCは資産買取の規模縮小や期限について論議が行われたことが示されているが、一方で「ほかの何人かのメンバーは雇用の顕著な改善まで資産購入の継続を主張」している。あくまで米国の今後の景気次第であり、どうなるのか、まだ先行きは分からない。

実際に20日の米債券市場では、FOMC議事録発表後に米国10年国債利回りは2.04%まで上昇した後に2.01%に低下、その後、再び上昇したが、結局、2.01%で終了、前日比では債券相場は小反発。材料消化難といった様相だ。

このところ米景気は回復傾向という言われ方がされるが、どの程度の強さかは定かではない。強気のFOMCスタッフが先走りするケースは珍しいことではない。今回の長い金融緩和場面でもその都度何度も似たような局面があり、米長期金利が上昇、ドル高に動いたが、長続きしなかった。結局、基調的な景気回復が見られなかったからだ。

20日発表の米1月住宅着工件数は市場予想(92万戸)より弱い89万戸に減少した。12月分が当初の95.4万戸から97.3万戸に上方修正された点を評価する向きがあるが、それなら97.3万戸から89万戸に急減したことになる。米住宅関連データは昨年来改善を続けてきたが、最近は、住宅着工件数だけでなくいずれも予想を下回る内容となっている。マーケットはあまり反応しなかったが、19日発表の米2月NAHB住宅市場指数(住宅建設業者指数)が46と、予想よりも、1月よりも予想外の低下。消費者による新築住宅購入のペースが鈍ったことが示されていると指摘されている。

米1月小売売上高で除く自動車ベースで前月比0.2%と予想を下回ったが、個人消費に対して、給与所得者増税が行われたことの影響が次第に大きくなる可能性もある。

四半期ごろに景気の楽観と悲観が繰り返されるのようなパターンから明確に脱却しない限り、米が金融緩和スタンスのグリップを緩めることは難しいとみられる。

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