[フォーカス] 内需低迷が提起した今後の不透明要因-政府の円安放置と日銀の追加緩和

概況


7-9月期実質GDP(国内総生産)は前期比・年率で-1.6%と予想外のマイナスとなった。民間消費、住宅投資、企業設備投資など全般に弱めだが、民間在庫投資の大幅な下ブレが主因だ。民間在庫投資・寄与度は-2.6ポイントの大きなものに。民間在庫投資の増減は常に変動要因だが、予想をしにくく、GDPの伸び予想の際にも織り込みにくいといわれる。しかし、この民間在庫投資を除く民需最終需要が実質・年率-0.4%とマイナス成長となったことは、内需が弱いと言わざるを得ないだろう。増税と円安による物価高懸念が背景にあると考えられる。今回の内需低迷は、マーケットに不透明な材料を提供するきっかけになりそうだ。

まず、このまま物価高につながる円安を放置して置くことができるのかという点。最近の政府のコメントは、円安は日本経済に全体としてはプラスから為替についてコメントせずに変わり、最近は過度の円高も円安もよくないに変わったが、円安基調は維持したいとの本音から、マーケットでは円安進行への明確なけん制はないとして円売りを続けてきた。政治的にもこのスタンスを続けられるか。円安主導による物価の2%目標達成が難しくなる。
もう一つは、消費再増税の先送りは確実となったが、1年半の期間限定で再増税が可能となるのか。再増税が1年半後に実施されるとすれば消費抑制要因となることは変わらないだろう。また黒田日銀総裁は、追加緩和の前提は消費税の引き上げということを再三にわたって強調していることに反することになる。消費税引き上げが延期されれば、日銀は更なる追加緩和が難しくなるだろう。財政再建への取り組みなしに日銀が大量の国債を買い続ければ、内外から財政ファイナンスとのそしりを免れないからだ。一方、日銀としては国債を買い続けなければ、長期金利の安定が保てないという苦しい立場に追い込まれる可能性もある。

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