米「財政の崖」になお不透明感、リスク・オンの揺り戻しも  日銀・追加緩和は織り込み済みから円買い戻しへ

概況


USD/JPY 日足

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日銀は20日、金融政策決定会合で0―0.1%に政策金利の据え置きを決める一方、資産買入等の基金を91兆円程度から101兆円程度に10兆円程度増額することを決めた。基金の増額対象は長期国債を5兆円程度、短期国債を5兆円程度とする。同基金を通じた今後1年間の追加的な資産買入額は、決定済みの分と合わせて36兆円程度となる。

また、金融機関の貸出増加額について希望に応じてその全額を低利・長期で無制限に資金供給する新貸出支援制度の資金額は最近の実績を前提にすると15兆円超の見通し。実施期間は2014年3月末までの15カ月間。新貸出支援制度の対象先は外国銀行の在日支店を含む預金取扱金融機関。

以上は全員一致で決定された。

中長期的な物価安定の目処について、次回会合で検討することにして、議長は必要な論点を整理し、報告するように執行部に指示した。

注目の東京外国為替市場の反応は、日銀が20日午後1時3分に追加緩和決定を発表すると、ドル円は84円38銭近辺まで上げた後83円98銭近辺に下落、その後84円25銭近辺まで持ち直したが、戻りもそこまで。その後はこう着。現時点では織り込み済みの様相。その後は円の買い戻しに。日本の自民党圧勝予想を内容とする総選挙とともに、日銀の金融緩和強化を1つの円売り材料として海外の投機筋は円売りを仕掛けてきたが、日銀が追加緩和に踏み切ったことで、材料にはなりにくくなったといえる。既にクリスマス休暇を目前に控えるというタイムスケジュールからも、特に海外勢はここでひとまず利益確定の売りを出して、次の展開まで一休みするシーズンに入ることで、ここから積極的な動きが出ると予想しにくい。一方、債券市場も想定された内容で反応薄の展開。先物3月限は144円10銭前後で動き。

しかも、18日の市場には米「財政の崖」交渉に対する楽観的な見通しが流れたが、19日のニューヨーク市場では、「大統領は共和党のベイナー下院議長が提案した『第2案』に対して拒否権を発動するだろう」とするホワイトハウス報道官のコメントが伝わるとドル円は84円20銭近辺まで急落。クロス円も軟化。さらに20日早朝「ホワイトハウスは産業界指導者に財政協議が後退と告げる」という関係者のコメントが報じられるとドル円は83円93銭と84円割れまで売り込まれた。予想通りというか、米「財政の崖」交渉の先行きはそう単純なものではないとみられる。オバマ米大統領、議会側とも大きな圧力団体を背負って、簡単に譲歩できるものではないと市場関係者は指摘している。どう決着するか年内にめどがつく可能性もゼロではないが、年明けにずれ込む可能性もの残されているもよう。

米「財政の崖」の決着で不透明感が払しょくできない以上、年内、もう1回、最近のリスク・オンの揺り戻しがないとはいえないとの声も上がっている。

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