ドル円は米金利で決まる 安倍氏に「幸運な巡り合わせ」

概況


2015年には1ドル=100円も
ドイツ証券 田中泰輔チーフ為替ストラテジスト語る

ドイツ証券 田中泰輔チーフ為替ストラテジスト、グローバルマクロ・リサーチ・オフィサー

ドイツ証券  田中泰輔氏

12日の米国FOMC(連邦公開市場委員会)を契機に、市場の期待する円安・ドル高が一段と進行。1ドル=84円近辺に達した。人気アナリストランキング「金利・為替部門」で毎年、独走を続けるドイツ証券の田中泰輔チーフ為替ストラテジスト、グローバルマクロ・リサーチ・オフィサーは13日に記者懇談会を開催し、為替の見通しなどについて以下のように語った。

「主に海外勢が膨大な円ショートポジションを作っており、国内勢はむしろドル売り方向だ。クレジットやリスク管理の面からポジションにも限度があり、いったんは調整かとみていたが、FOMC後の米金利上昇を見たトレーダーが、オプション絡みのストップロス注文を巻き込んで、少々強引に仕掛けてきた」

「もともとマーケットが“どん詰まり”の状態で、資金の配分先に窮していたところに、一連の安倍発言が飛び出し、投機筋が雪崩を打ってアベ・トレードに参入。この半年、円安予想を掲げてきた当社にとっては『今さら』の感もあるが、今や参加者の大半が円安を唱えているのが現状だ」

「日米の2年物国債金利差は、ドル/円相場とほぼ連動してきたが、最近は3円程度、円安方向にカイ離している。投機的な円売りと、米国債の需給要因の両面による」

「米国の金利が下がれば、結局、日本側が何をやっても円高・ドル安になる。そうなれば、『安倍首相』のしたことは単に日銀の独立性を損ねただけ、と言われかねないし、その可能性も若干は残る。とはいえ、安倍氏は幸運な巡り合わせにあるようだ。来年は、米国と新興国の経済が歩調を合わせて、緩慢ながらも上向きに推移するとみられるためだ。首尾よく円安が進めば、安倍氏の『手柄』とされるのだろう」

「年末のフィスカルクリフ(財政の崖=ブッシュ減税などの期限切れ)を巡る騒動は、一種の“茶番劇”。克服のメドが立ったところで、エコノミストの米国経済見通し引き上げが相次ごう。米国経済はバブル後のバランスシート調整の過程にあるため、急ピッチな回復は見込めないが、その分、金融面の手厚いサポートが長期化する見通し。『リスク・オン』とまでは行かなくても『リスク・ポジティブ』の流れとなろう」

「2013年後半には1ドル=85-90円を想定する。調整があっても80円までで、もう75円には戻らないのではないか。先の円高ピークは、循環上ではなく歴史的水準だったとみる。過去のドル/円相場は、ほぼ8年サイクルで動いており、サイクル論からの円のボトムは14-15年。ざっくりしたイメージで、15年は1ドル=100円に1、2回絡むのかなと思っている」

「貿易収支や基礎収支は、全体の為替フローの中の一部。最近の赤字化も、円の下落圧力としては、さほど強いものではないが、それでも円安地合いの下地にはなる」

「潜在的な危機を内包する欧州経済については、結局、毎回資金繰りを付けて底割れを回避していくほかはない。もともと期待値も低いため(1)苦境に陥りユーロショートがかさむ(2)対策発表を受けた買い戻しに戻る(3)政策当局の手が緩み売られる――パターンが年に1、2度繰り返されていくだろう」

「ユーロ円相場は、ユーロドルとドル円という『異なった2つのサイクル』で動くため、両者のアヤで、1ユーロ=90円台半ばから110円程度の幅での変動余地が想定される」

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