米「QE3.5」観測高まる  ドル安・円高圧力につながる可能性も

概況


このところ発表される米景気指標に弱い動きが見られる。ハリケーン「サンディ」の影響がどれだけあるのか見極めがつかないことで、マーケットの反応はそう悲観ムードに傾いていないように見受けられるが、米景気指標トレンドの下向き傾向が鮮明になった場合、これまでの楽観ムードの反動も怖い。米国の当面の焦点は12日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で追加緩和を巡っては見方が分かれているが、実施された場合、ドル円への影響が無視できないとの指摘もある。

USD/JPY 日足 ボリンジャーバンド(25)

USD/JPY 日足 ボリンジャーバンド(25)

前週発表された米指標は、10月耐久財受注、10月中古住宅販売仮契約などは予想を上回ったが、10月シカゴ連銀全米活動指数、11月ダラス連銀製造業活動指数、10月新築住宅販売件数、第4・四半期GDP(国内総生産)改定値、新規失業保険申請件数、10月個人所得・個人支出、10月PCEデフレータ、11月シカゴ購買部協会景気指数など弱かった。景気指標トレンドが上向きにあった、ハリケーンが来襲する前とは明らかに異なっており、ハリケーンの影響も無視できないと推察されるが、その影響だけとも言い切れない。もともと脆弱(ぜいじゃく)な経済体質が再び表面化してきたともいえる。さらに米「財政の崖」問題も圧迫している可能性が十分ある。

こうした中で一段と注目されていた米11月ISM製造業景況指数が3日発表され、49.5(予想51.5、10月51.7)と、予想外の「50」割れを見せた。経済活動の拡大と縮小の分岐点である「50」割れは3カ月ぶりのこと。構成項目は、生産が53.7に上昇したが、新規受注が50.3、雇用が48.4に低下。在庫指数が50.0から45.0に低下したことで新規受注・在庫指数バランスが若干改善したが、新規受注の回復力の弱さが懸念されている。新規受注は世界的に低迷している。米新規受注では回復業種に依然広がりが見られないことがネックとなっているもよう。個人消費になお底堅さはあるが、米景気がそれほど強くないことが明らかになったといえる。

7日発表の米11月雇用統計で、焦点の非農業部門雇用者数の予想コンセンサスが9.0万人と10月(17.1万人)の半減近く、一部には7万人との見方も出ているのも、ハリケーンの影響を予想してのこととみられるが、こうなると、ハリケーンの影響が一時的な特殊要因と冷静なスタンスを取っていられない。また、米「財政の崖」回避に向けて議会とホワイトハウスの交渉がされているが、その実現の見通しが立たない中で、企業、個人ともにマインドが悪化すれば、米景気の下ブレリスクが高まることは必至といえる。

12日のFOMCでは、米「QE3」(量的緩和第3弾)の追加拡大が焦点。いわば「QE3.5」が決定されるのかが大きな関心事となっている。具体的には、年末のツイスト・オペ(短期国債売り・長期国債買い)終了を見据えて、同オペを取りやめて、長期国債買い入れの増額に踏み切る可能性が予想されている。長期国債買い入れの増額で、事実上の追加緩和といえる。「QE3」決定時にはこの対応を考えいたと指摘され、「QE3.5」ということになる。

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